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夢見ました(14)
2006/06/06(Tue)
大会21日目。

準決勝
アルゼンチンvsフランス。
ここまで来れば、十分成功と言えるはずだ。
だが、両チームとも、そんなことは一切思っていないだろう。
ここからの戦いで本当のW杯のスターが生まれる。
今までの活躍はその序章に過ぎない。
誰がトロフィーを国民にもたらすのか。
この両チームの選手の中には、たくさんそれに値する選手がいる。
メッシ、リケルメなのか。ジダン、アンリなのか。
はたまた98W杯のテュラムのような存在が現れるのかもしれない。
興奮に包まれるスタジアム。全世界からの目線が降り注ぐピッチ。
フランスは、ある程度攻め込まれるのを覚悟していたようだ。
アルゼンチンがゲームの主導権を握っているように見える。
だが、アンリとトレセゲ、ジダンは、あっというまにアルゼンチンのゴール前を、襲うことが出来る。
全選手の集中力は、極限まで高まっている。
0?0で終えた前半戦。ミスと言えるものは1つもなかった。
後半に入っても、ゲームの緊張感は途切れることがない。
僅かな穴をも開けない守備陣。一瞬できるであろう隙間を逃すまいと、研ぎ澄ましている攻撃陣。
やはり、風穴を開けるのは個人の力だ。
メッシがドリブルをはじめ、マルレをかわすと、マケレレが前に立ちふさがる直前、左足を振りぬきミドルシュートを放った。
マケレレの足に僅かに触れていただろう。シュートはバーを叩き枠の外へ弾きだされた。
一気にゲームが加速する。その2分後、ジダンはキープしながらも、ビエラ中央を駆け上がったのを見逃さず、見事なパスを送った。DFが何とか触ったが、そのボールはなんとトレセゲの前へ。
しかし、トレセゲのシュートはGKの正面へ飛んだ。
3分後、今度はアンリが襲い掛かる。左サイドでボールを持つと、1人かわして狙いすましてシュートを放ったが、僅かに枠をそれてしまう。
フランスは天を仰いだ。
2分後には、ソリンがサイドを猛然と駆け上がり、まったく中を見ずにクロスを突き刺した。これに飛び込み、先に触ったのはテベス。しかし、バルデスが奇跡的に反応しボールを前へこぼした。クレスポが押し込んだかに見えたが、テュラムが一瞬早かった。
フランスはピンチを脱したかに思われたが、ボールが転がった先には、メッシがいた。ギャラスとビエラが身体を投げ出すが、それをあざ笑うかのように弧を描いて、メッシの放ったループシュートはゆっくりとネットを揺らした。
この時間帯に訪れたチャンスを決め切れなかったフランスは、残り時間を有意義に使うことが出来なかった。焦りを生み、連携を失ってしまった。
大喜びするアルゼンチンの輪の横で、ジダンは涙を浮かべ、大声援に応えていた。

大会22日目。

準決勝
ブラジルvsイングランド。
ブラジル圧倒的優位は揺るがないが、今大会一と評されているイングランドのDF陣なら抑えることが出来るかもしれない。
攻めるブラジル。守って、オーウェンのイングランド。
最も重要なのは先制点。イングランドが奪われるようなら彼らに勝ち目はない。
ルーニー。彼が鍵を握っているのかもしれない。
予想されたとおりの展開になった。
イングランドが中盤からきっちりゾーンを組み、堅いブロックを築いて、ブラジルの攻撃を跳ね返していく。
ロナウジーニョがボールを持つと、すぐさまG・ネビルとベッカムが挟み撃ち。アドリアーノ、ロナウドもすごい圧力を受け、仕事ができないでいた。
イングランドは、前半ブラジルに決定機を与えなかったが、攻撃の方はジェラードのミドルシュートが1本あっただけだった。
後半、ピッチ中央にルーニーの姿があった。
後半が始まるとブラジルの猛攻撃が始まった。
「俺らは、攻めて攻めて攻めまくって勝つ」そんな強い意志が感じられた。
60分。アドリアーノがチェックにきたジェラードをあっさりかわすと、迷いなくロングシュートを放った。
完全に芯を食ったそのボールは、異常な変化を見せ、ロビンソンは触るのが精一杯。
弾いたボールにつめたのはもちろんこの男、ロナウド。
ブラジルが先制した。
イングランドは一気にギアを入れ替え、ロングボールを多用しながらブラジル陣内に攻め入ろうとするが、シュートチャンスを作るまでには至らない。
逆に、ブラジルの早い攻撃に危険にさらされる場面が多くなった。
ルーニーはやはり本調子とは程遠い。彼の表情は大人しいままだ。
ジェラードが強引にシュートを放つも枠を逸れてしまった。
80分。ブラジルのカウンターが決まった。アドリアーノに代わったロビーニョがロナウジーニョとワンツーを決め、GKとの1対1を制した。
長いホイッスルが鳴り響くと、ブラジルの選手たちは、ピッチの上で踊り続けていた。
ベッカムは、ルーニーを抱き起こし、静かに去っていった。



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テーマ:2006年FIFAワールドカップサッカー - ジャンル:スポーツ

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